cskyousei’s article

東京渋谷CS矯正歯科クリニック、大の映画好きの院長が贈るとびきり素敵な歯のコラム

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン Catch Me If You Can

テレビやシアターでさんざんプレビューを観たから、もう既に1回は観た気分になっちゃった「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」。意外に長くて2時間以上もあった。「ギャング・オブ・ニューヨーク」のコワーイ表情でついてしまったレオ様の眉間の深いシワがちょっと気になったけれど、ハッピーエンドでなかなかカワイイ映画だった。

レオ様演じる若いサギ師のフランクが恋をしたのは、ドジで泣き虫のナース、ブレンダ。フランクが彼女に初めて会ったとき、彼女はヘマをしてシクシク泣いていた。しかも彼女は何故だか唇にいつも手を当てている。フランクがなぐさめて、ニカッと笑うと、何と彼女の歯にはギッラギッラの矯正装置が!!これを見てフランクったら本当に彼女に惚れちゃうのヨ。

「They look good on you.」
とか何とか言ってた。
いやー、矯正装置のパワーはスゴイよ。フランクは極悪犯罪者なのに実はメチャクチャいい奴で、頭もイイ。ナイスでスマートな男を手に入れるには、やっぱり矯正治療をしなくちゃネ。ブレンダは矯正装置が外れると、真っ先にニセ医者になりすましているフランクに見せにいくんだけど、「歯がツルツルするから思わず何度もなめちゃうの」なんて言うもんだから、フランクもその気分を味わいたくてキスシーンへ…。

さて、この映画の論評はどれも、「アメリカの良き時代、60年代を詳細に再現している」って言っているけれど、矯正装置についてはさすがのスピルバーグも詰めが甘かったかもしれない。ブレンダがつけていた矯正装置は、ダイレクトボンディングシステム、私たちがDBSと呼ぶタイプで、歯面に直接ボンドを使ってブラケットを貼り付ける方法だった。さすがの先進国のアメリカでも、60年代にはまだこのDBS法は開発されていなかったはずだ。

当時は、すべての歯にバンドと言われる銀色の冠をかぶせる方法で、自分の白い歯の部分はほとんど見えない状態だった。もちろんギラギラ度も今の3倍はあった。このバンドを使った矯正装置、大臼歯等でどうしても必要なときは私も使っているが、歯や歯ぐきを不潔にしたり、バンド分のスペースが歯間に残る仕上がりになるので、あまり良い方法とは言えないだろう。転院のケース等で、意味なくバンドがギラギラついている患者さんを診ると、「あー、いまだに60年代の矯正医もいるんだ。」と実感してしまう。

時代は21世紀。矯正治療の技術も材料も格段に発達しているのだから、みな安心してどんどん矯正治療を受けていただきたいと思う。