cskyousei’s article

東京渋谷CS矯正歯科クリニック、大の映画好きの院長が贈るとびきり素敵な歯のコラム

Gガール-破壊的な彼女- My Super EX-Girlfriend

普段、矯正の新しい技術や材料を仕入れるために、いつも必ずアメリカの矯正学会やセミナーには参加するようにしている。行った際によく立ち寄る場所のひとつに、現地のレンタルビデオ屋さんがある。矯正の勉強のための旅行だし、その場所に住んでいるワケじゃないからビデオ屋さんの会員登録はムリ。もし借りられたとしてもアメリカで観る時間も、プレーヤーもないしね・・・。

お目当ては、レンタルビデオ屋さんに売られている旧作のDVD。貸し出しされていたものだから、かなり傷があったり、箱がちょっとベトっとしていたりもするが、日本の自分の家で1度楽しむには十分だし、日本では未だ公開されていない多くの作品が10ドル前後で購入できるから、超お得な感じ。リージョンフリーのDVDプレーヤーを持っているなら、アメリカ旅行の、絶対にお勧めのスポットだと思う。

「Gガール-破壊的な彼女-」も、日本での公開の前に旧作DVDとして11ドル99セントで買って来た。(このコラム、映画の配給会社の方に読まれるとマズいかなあ?!)あんまり期待しないで観てみたら意外に楽しくて、初めから最後まで笑いっぱなしの作品だった。

主演はユマ・サーマン。彼女って、昔「ガタカ」の頃はもう綺麗すぎて息を飲む感じだったのに、「キル・ビル」の黄色いブルースリージャージ姿で「あー、おばさんになっちゃったね」、「ジューシーさがナイ!どうしちゃったの!?」って思ってたけど、今回はかなり復活してると思うよ。衣装も全て超カワイくて(衣装については、わたし的には「プラダを着た悪魔」より好きでした)、ユマ・サーマンのスリムなモデル体型にピッタリって感じだった。

さて、このユマ・サーマン演じるGガールのジェニーちゃんは、超ダサイ高校生だったんだけど、ある日デート中に落下して来た隕石を触ってスーパーパワーをゲットしちゃう。ジェニーちゃんは、このスーパーパワーを使ってN.Y.の人々の平和を守る正義の味方なんだけど、恋愛に関してはかなり不器用で、タイトル通り破壊的!これをコミカルに表現していて笑えるシーンが満載!

レストランでメニューをイライラしながら見て「ニョキ、ニョキ、ニョキ!」なんて彼女がブツブツつぶやくシーンは、「えっ!ジェニーちゃん、それ日本語!?じゃない??」って一人でつぶやいちゃいましたよ。(もちろんパスタのニョッキのことだけどね・・・。)高校生時代のジェニーちゃんは、お口のなかにはギラギラ光る金属の矯正装置が入っている。スーパーパワーの隕石に触れたとたんに、ペタンコの胸はぐいぐい成長するわ、お顔は美しいユマ・サーマンになっちゃうわ、口の中の矯正装置がバーンと外れて完璧な歯並びに変わっちゃう。

いや~、日本語のタイトル通り、矯正医としては全く破壊的ですワ。今は矯正装置を付ける接着剤も色々な種類が出ていて、ウチのクリニックではあまり強力なものはできるだけ使用しないようにしている。最後に矯正装置を撤去する時に、歯の表面のエナメル質を剥離してしまう可能性があるからだ。基本的には、接着剤の力も科学の進歩でどんどん強くなってきているし、当院のほとんどの患者さんは治療開始から最後まで矯正装置を壊すことはないのだけど、Gガールみたいに破壊的な患者さんが何人か存在して、毎月想像を絶するくらいに矯正装置を壊してくる。

矯正装置は、壊れてしまうと正しい歯の動きを全体的に妨げるだけでなく、ジグリング(行ったり来たり運動)を起こして、最悪の場合歯根吸収の原因になったり、治療期間も延びたりしちゃう。矯正装置が壊れる理由のほとんどの場合は、実は患者さんの不注意なんだけどね~~~。普通のほとんどの患者さんが装置を壊して来ないにも係わらず、ウチのクリニックのGガールの多くは、装置が壊れた理由が施術側にあると思っているのがちょっと怖い。

矯正装置が入っている方は、皆さん、くれぐれも食事や歯磨き時には本当に十分注意をしていただきたい。Gガールは映画を観てもらえれば分かるけど、あんまりいただけないと思うヨ。